公民館について

公民館とは
公民館(こうみんかん)とは、現代の日本において住民のために、実際生活に即する教育・学術・文化に関する各種の事業を行う教育機関のことです。 社会教育法第20条にて「公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術および文化に関する各種の事業を行い、もって住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。」と定められています。

公民館は、住民同士が「つどう」「まなぶ」「むすぶ」ことを促し、人づくり・地域づくりに貢献しています。

   目次

公民館の位置づけ

公民館は、教育基本法や社会教育法により、日本の教育法体系のなかに位置づ けられています。

教育の目的

教育基本法では、教育の目的は、「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」とされています。 さらに、社会教育については、「個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない」とされています。(教育基本法 第 1 条、第 12 条第 1 項)

社会教育の定義

社会教育法では、社会教育とは、「学校教育法(略)に基き、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーションの活動を含む。)」と定義されています。(社会教育法 第 2 条)

公民館の目的

公民館の目的として、「公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与すること」が掲げられています。(社会教育法 第 20 条)

公民館の設置

「公民館は、市町村が設置する」とされており、定期講座の開設や、討論会・講習会・講演会等の開催、図書・記録・模型・資料等を備え、その利用を図ること、体育・レクリエーション等に関する集会の開催、各種団体・機関等との連絡、その施設を公共的利用に供すること等を行うとされています。(社会教育法 第 21条第 1 項、第 22 条) この市町村が設置する公民館のほかに、住民たちがお金を出し合って、集落ごとに公民館に似た機能を持つ施設を設置・運営している場合があります。このような公民館を「自治公民館」といい、全国公民館連合会が 2002(平成 14)年に実施した調査によると、全国で約 7 万の自治公民館の設置が報告されています。

運営

公民館は、社会教育法に基づき、市町村の社会教育行政の一部に位置づけられています。2003(平成 15)年以降、地方自治体法の一部改正により指定管理者制度がうまれ、公民館の管理・運営にも導入されています。

運営の原則

・地域性
公民館は、行政が地域住民のニーズを把握し、地域が抱える様々な教育課題への対応などについて、主導的に学習機会を企画し、自ら提供することができる地域の学習拠点です。
・教育専門性
すべての活動に、社会教育的な観点に基づいた専門的な配慮がなされています。
・公共性
公民館は、年齢、性別、職業等を問わず、全ての人に開かれた場所として運営されています。

運営の特徴

・公民館運営審議会の設置
館長の諮問に応じて、公民館における各種の事業の企画実施について調査審議する機関として、地域住民や保護者、教師などの学校教育や社会教育の関係者、学識経験者等をメンバーとする公民館運営審議会を設置することができます。
・運営に関する評価の実施
公民館は、当該公民館の運営について評価を行い、その結果に基づき、公民館の運営の改善を図るため、必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされています。
・運営に関する情報の提供
公民館は、当該公民館の事業に関する地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該公民館の運営に関する情報を積極的に提供するよう努めなければならないとされています。

予算

公民館の活動は、市町村の予算でまかなわれることが原則ですが、場合によっては、参加者から少額の負担(必要経費など)を徴収することもあります。

施設

公民館の建物の維持管理は市町村の責任のもとに行わなければなりません。

公民館の設置・運営のための基準

公民館の健全な発展のために、公民館の設置運営上必要な基準が、文部科学省によって定められています。現在の基準(2003(平成 15)年告示)には、以下の事項が掲げられています。 ・対象区域 ・地域の学習拠点としての機能の発揮 ・地域の家庭教育支援の拠点としての機能の発揮 ・奉仕活動・体験活動の推進 ・学校、家庭および地域社会との連携 ・地域の実情を踏まえた運営 ・職員 ・施設および設備 ・事業の自己評価とその公開

職員

社会教育法において、公民館に置くべき職員(館長、公民館主事)とその職務内容についても規定されており、公民館の活動を維持・発展させる上で大きな役割を果たしています。 また、公民館の専門的機能の担保などのため、地方公共団体における社会教育行政の中核として、地域の社会教育行政の企画・実施及び専門的技術的な助言と指導を行う社会教育専門職員(社会教育主事)については、社会教育法に基づき、資格制度が設けられています。

公民館の職員の種類

公民館には、館長、公民館主事などの職員が配置されています。法律上、館長は、公民館の行う各種事業の企画実施等を行い、所属職員を監督し、公民館主事は、館長の命を受け、公民館の事業の実施にあたることとされています。このほかに非常勤の職員を置くこともできます。

採用

公民館の職員になるには、市町村の職員(公務員)として採用される必要がありますが、指定管理者制度で運営される公民館職員の採用は、指定管理者が行っています。また、義務ではありませんが、公民館の職員となるにあたっては、大学等で社会教育に関する科目を履修することが望まれます。

研修

現職の公民館職員には、国、都道府県、市町村、全国公民館連合会、都道府県公民館連合会などの主催により、個別のテーマや経験年数ごとに、様々な研修機会が与えられています。

公民館職員の職務

公民館職員の主な職務は、次のとおりです。 ・公民館が主催する社会教育事業の企画・実施・個々の住民や住民のグループなどに対する情報提供や学習相談 ・社会教育活動を行う団体に対する学習スペースの提供・地域における住民同士、あるいは団体同士の連携の促進

社会教育主事

社会教育法に基づき、社会教育主事という資格制度が設けられています。この資格を得るためには、大学などで所定の単位を取得するか、文部科学省が実施する講習を受講することが必要です。 社会教育主事は、法律上、都道府県及び市町村の教育委員会の事務局に必ず配置することとされています。その職務は、当該市町村内での社会教育活動に対する専門的技術的な助言と指導ですが、地域において関係者が連携して生涯学習・社会教育を推進するに当たって、社会教育関係者やその実施する活動において関係する地域の人材等の、連携のための調整を行い、さらに関係者の具体的な活動を触発していくコーディネーターとして、積極的な役割を果たすことが期待されています。

変化する社会と公民館の役割

現在の日本社会は、少子高齢化、情報化、環境問題への対応など、多くの社会的課題を抱えています。地域ごとの社会的課題に対応するため、公民館は、関係する機関・団体をつなぎながら、それらの課題の解決を目指しています。

学校・家庭・地域の連携を促進する

地域全体で学校教育を支援する体制づくりを行う「学校支援地域本部事業」や、放課後や週末に安全・安心な子どもの居場所づくりを行う「放課後子ども教室推進事業」などの取組が 全国で行われています。 こうした取組では、公民館の館長・職員が教育委員会や学校、地域ボランティアとの連絡調整を担うこともあり、保護者や地域住民が積極的に参画しています。

社会の要請に応える

公民館は、裁判員制度、地域防犯、消費者教育、防災教育など、民間では提供されにくい分野の講座開設や、地域において支援を必要としている方への対応など、関係機関・団体と連携・協 力しつつ、地域の課題解決に向けた支援を行い、地域における「公共」を形成するための拠点となっています。例えば、多くの公民館は、災害時の避難場所に指定されているため、避難所で の暮らしを実際に体験することを目的として、宿泊型の訓練を実施している公民館もあります。   以上、文部科学省「公民館パンフレット」より抜粋しました。
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