


相模原市の南西に位置する麻溝公民館は、館区内人口が約17,200人、出会い・ふれあい・学び合いの場として、平成23年度には主催、共催を合わせ38事業を実施し、これらの事業に延べ5,700人が参加した。
ここに紹介する「酒まんじゅう作り講習会」は、ふるさとならではのご馳走が家庭で作られることが少なくなってきていることから、公民館を通して一人でも多くの人にふるさとの味を伝えていこうと、地域住民で構成される文化部が平成3年に開講した催しである。
21回を数える昨年夏の講習会は、子どもを含めた30人が「ふるさとの味を伝える会」の皆さんを講師に、夏から秋にかけてどこの家でも作られたという酒まんじゅう作りに挑戦した。
1日目は酒種仕込み。酒まんじゅうの仕上がりに関わる大事な行程とあって参加者の目や耳は全開。各班慎重に作業が進められ2時間後に一次発酵へ。2日目は酒種を使ってのまんじゅう作り。1日目に続き、生地作りや二次発酵のため暑くてもエアコンを切っての作業である。
「今年こそふかふかの酒まんじゅうを作るぞ」「幼い頃母が作ってくれた酒まんじゅうが忘れられない」「夏休みの自由研究にしたい」など額に汗して頑張った甲斐もあり、せいろの蓋を開けると酒麹の香りとともに湯気の中にふっくらとした酒まんじゅうが現れた。
台地ゆえに考えられた小麦粉料理は、この他にも石垣団子、煮込みうどん、焼もちなどがあるが、中でもこの酒まんじゅう作りが長きにわたって講習され続けてきた理由の1つは、「酒まんじゅうが作れなければ嫁には行けぬ」などと言われるほど、親から子へと受け継がれてきた伝統の一品だということであろう。
開講時から講師を務める88歳の中島さんは「15年前に講習を受けた人が今でもその時の資料を見ながら酒まんじゅうを作っていると聞きました。今年の参加者もこれをきっかけにふるさとの味を大切にしていって欲しいです」と、話していた。
子どもにとっても大人にとっても憩いの場であり、学びの場である麻溝公民館。今後も地域住民の声に耳を傾け、期待に添う事業を展開していきたい。
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